笑って泣ける映画。
笑いが心の緊張を解きほぐし、
感動がもやもやしたものを洗い流してくれる。
そういう映画が私は大好きです。
1997年。
当時まだ大学生だった私は、
有楽町スバル座でこの映画と出会いました。
あのときの感動は今でも覚えています。

舞台はイタリアの片田舎。
マルチェロ、ロザンナ夫妻は小料理店を営んでいます。
ロザンナは日常生活には支障はないものの、
心臓を病んでいます。
そして医者からそう長くないことを告げられています。
二人の間には子供がいましたが、幼くして亡くなり、
村の共同墓地に眠っています。
ロザンナの最後の願いは子供の側で眠りにつくこと。
ところが、村の墓地は、空きがあと3つしかありません。
そこでマルチェロは、ロザンナが旅立つまでは、
なんとかこれ以上村人が死なないようにと
奮闘するのでした。。。
主演は「レオン」で有名なフランスの俳優ジャン・レノ。
どこか的外れで、でも一生懸命なその姿が、
彼の風貌によく似合います。
マルチェロがとにかくロザンナの願いをかなえようと、
それこそ何でもする姿が心を打ちます。
勝手に交通整理を始めて余計渋滞を招いたり、
入院している老人にアリゾナで療養しては?と勧めたり、
仕舞いにはがっつり法にも触れることまで。。。
まあ、そこはご愛敬で。。
墓地の隣の土地は村の富豪、カペストロの物。
マルチェロは教会に土地を買うようにと働きかけ、
教会もカペストロから土地を買おうとしますが、
彼は頑なにこれを拒否します。
このカペストロとの関係が、この後、物語を動かします。
彼は彼で、見方によっては
シンパシーを感じてしまう男なのです。。

どんなに無駄なことかもしれないけれど、
愛する人のために、自分ができることはひとつでもやる。
それがマルチェロです。
そしてそんなマルチェロのことを微笑ましく見守るロザンナ。
子供を失ったり、病気になったり、
時には自暴自棄になりそうでも、彼と共に歩むことで、
彼女はたくましく生きてこられたのだと感じました。
そんな二人の姿を見て、
自分をこの映画にひきつけたのだと思います。
また、この映画、音楽がとてもよいです。
作曲はトレヴァー・ジョーンズ。
同時期に「ブラス!」でも有名になりました。
やさしい包み込むような音楽が、
イタリアの自然豊かな情景ととても合っています。
この音楽が映画の魅力を引き上げているのは間違いないです。
折を見て見返しているこの映画ですが、
今回この記事を書くにあたり、また見てみました。
こうして何度も楽しめる映画に出会えたことに感謝です。